研究する医師は臨床もできる

研究経験のない医師の中には次のように言う人がいます。それは、「研究している医師は、研究している時間の分だけ臨床経験が少ないのだから、臨床能力が低い」、「博士号なんて取らないと気になるが取っても役に立たないので、大学院に行くのは無駄である」というものですが、これらの言葉は気にする必要はありません。

まず、「研究をする医師は、臨床ができない」というのは全くの嘘です。研究を行うには完璧な論理性が求められます。研究をして論文を何度も手直ししている間に、自分の論理性を飛躍的に向上させることができます。論理性を向上させることは、臨床における診断の精度や治療の考察に非常に役立ちます。磨いた論理的思考を一般臨床で応用すれば、患者さんの状態を把握して、起きている現象の意味や原因、原因と症状の結びつき、病態に対する治療選択などに対して、考察がいっそう深まります。臨床は本来論理の塊であるべきですが、臨床現場では論理的思考の不足があっても患者さんが自然に治ったりして事なきを得ることがしばしばあります。しかし、研究ではわずかな論理の矛盾があれば論文を完成することができず、徹底的な論理的思考が求められます。研究を行うことによって、論理性を向上させることが、臨床能力向上にも役立ちます。

医師アルバイトをしていても、こうした研究によって得られる知識もあるかもしれません。臨床だけにとらわれず、柔軟な考え方ができる医師アルバイトの人たちは、きっと働き先でも役に立てる可能性があります。