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理系人気のかげりと医学部人気

日本の大学では、大きく文系と理系に分かれています。このような区別は欧米の大学にはなく、このように分けられるようになったのは、戦前の教育制度が起源ではないかと言われています。受験生にとってみれば、志望校を決定するために文系か理系かを定めることは重要です。そして、文系か理系かを分けるのは、入試に数学を必要とするか否かです。理系の入試では、数学の試験でよい点数を取ることが入試を突破するうえで重要な条件になります。

医学部は伝統的に理系の学問に分類されてきました。しかし、実は医学部では工学部や理学部など他の理系学部ほど数学は必要とされません。精神医学のような診療科ではむしろ文学的な素養を必要とします。ところが、高校や塾では、数学ができる受験生に医学部受験を勧めるということが起きており、医学部に進学してから医学を好きになれないと悩む学生を生み出しています。

理系の中で医学部を目指すことになる大きな理由の一つに、医学部以外の理系の学部に進学することの積極的な意味が低下してきたことが挙げられるでしょう。

戦後から経済成長期までは、理工系の学生が日本の製造業を支え、日本経済は成長を遂げました。社会がうまく機能するためには、文系の人間も理系の人間も等しく尊重されなければなりません。しかしながら、日本では、現場の技術者よりも管理運営に関わる文系の立場の方が強い社会になっていると言われています。このような社会のしくみが、理工系人気の低下に影響を与えていると考えられます。

しかし、理工系人気が低下したというだけでは加熱する医学部人気を説明するのには不十分です。近年医学部に人気が集中しているのは、1990年代からの不景気の影響が大きいでしょう。長期的な不景気の影響で、理工系の卒業生は就職難に直面しなければならず、正規社員として就職するのが困難になりました。このような不安定で不確実性の大きな社会になると、若者が大きな夢を抱くということが難しくなり、将来の生活を安定させるために夢は現実的なものに限定されます。そういった状況のなかで職業選択を迫られるになると、医師という仕事が好きではなくとも、医師は非常に有力な選択肢となるのでしょう。

未来の社会を支えるような素晴らしい仕事は、その仕事を愛し、それに打ち込める環境があってこそ生まれると考えられます。そのような仕事を成すことができる若者をたくさん生み出すには、日本社会の現状を変えていかなければならないでしょう。

医師のアルバイト求人を探している人もこうした背景は知っていて損ではないでしょう。

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医学部入試の難化

医師アルバイトをしている方の中には、大学の医学部に在籍している方もいるかもしれません。そんな医学部について今回は触れたいと思います。

医学部の人気はとどまることを知りません。一方で、かつては非常に高額であった私立大学の授業料は軒並み低くなっています。各私立大学は学費を切り下げ、優秀な学生を獲得するために競争しているのです。経済的な負担の面から考えると、以前よりは入りやすくなっているとも言えるでしょう。

医学部に入学することは、以前から簡単なことではありませんでしたが、近年さらに難しくなっています。これほど医学部が難関になるのはなぜなのでしょうか。

昔は必ずしも難関とは言えなかった一部の私立大学の医学部においても、医学部人気の結果、成績の良い受験生が集まり、今やもうやさしい入試とは言えなくなっています。

最近の大学進学率や十八歳人口等を考えると、日本全国の優秀な若者の七‐八人に一人の割合で医学部に入っていることになります。

当然ながら、偏差値で人間の能力を全てはかることはできません。しかし、社会において偏差値的な面から見て優秀なグループに属する若者の多くが、医師という一つの職業を目指しているというのは、とても健全とは言えないでしょう。日本社会の将来を考えると、若者が多様な分野で活躍できる社会であることが重要であり、今日の医学部人気は社会のゆがみが反映したものであると考えられます。

医学部がこれほど人気があるのは、それなりに理由があります。まず、医師は人の役に立つ仕事であり、社会から尊敬される職業の一つであり、他の職業と比べて高収入で失業する心配がありません。元気であれば、高齢になっても働き続けることができます。また、偏差値が高く難関の医学部に合格するという高い目標を掲げることが受験生のモチベーションになることもあります。進学校にとっては、卒業生が医学部に進学するということが学校の評価を上げることにつながるため、成績の良い生徒に医学部の受験を熱心に進める、ということが起きています。しかし、医師に向いているかいないのかといった適性や医師という仕事についてよく考えないまま医学部を目指すことは、望ましくありません。